忍者のブログ

海外旅行をした時に、これは何故?どうしてこうなの?と思うことがいろいろ有りました。面白い話や常識では解らない話など物語風に少しづつ書いて行きたいと思います。

■ 騙し合いなの怪? ■

  ■ 騙し合いなの怪? ■

 

 イギリスの集合住宅。日本で言う4階以下のアパートです。現地ではその住宅の事をフラットと言っています。先程も言ったように、その多くが200年から250年も経っていて、分厚い石を積み上げた重厚な石造りの家なのです。1階の建物全体の入り口に鍵が付いていて、自分の部屋からオートロックで出入り口の鍵を開けられるようになっています。外部の人間が勝手に入って来られないようになっているのです。当然のことながら、その住人は皆自分の部屋の鍵と、1階の入り口の鍵の両方を持っています。これは日本のマンションと同じです。しかし、郵便ポストは日本のように1階に集中して付いてはいなく、各部屋に付いているのです。

     B:ずいぶん中途半端な作りだね。

        エントランスのドアを少し引っ込めて

                       ドアの外側に個人別の郵便受けを取り付ければいいのに。 

   Aイギリス人はそんな手の込んだ事はしないの。

     B:まぁ、いっか。

                        それじゃあ、郵便物はどうやって届くの?

  ポストマン(郵便配達人)は先ず建物の1階の外側に付いている部屋ごとのブザーで、目的の部屋を押し、インターホンで「ポストマン」と言って郵便が来た事を告げます。届ける目当ての人が部屋に居れば、その人が自分の部屋から1階入り口のロックを開錠します。するとポストマンは階段を上がって行って届け先の部屋のドアに着いているポストに郵便物を届けます。これはごく普通のパターンです。

     B:これで配達が完了すれば問題ないんだね。

   Aそう、でも相手がいない場合は郵便屋は奥の手を使うんだ。

   ブザーを押した時に部屋に相手が居ればいいのですが、不在の場合は、ポストマンはその郵便物を再び届けに来なくてはなりません。しかし、1階入り口の鍵が開きさえすれば、部屋の前まで上がって行くことが出来、相手が不在でも郵便物を部屋のポストに届けられるのです。

        B:そりゃ、そうだ。

  そこでポストマンも考えたものです。1階の外壁に付いている各部屋のブザーを端から順に誰かが応答するまで押し、誰かが応答するとインターホンを通じて「ポストマン」と言って建物入り口の鍵を開けさせるのです。鍵を開けた住人は自分の部屋に郵便が来ると思って待っているのです。

  ポストマンとしては1階の鍵が開けばしめたもの。鍵を開けてくれた部屋には行かず、郵便の届け先である別の部屋に届けていくのです。

  だから、ブザーが鳴って郵便が来るのかと思って1階の鍵を開けても、自分の部屋に来ない事が良くあります。

        B:昔は家のブザーを軒並み押して

                        逃げて行っちゃう子供が良くいたね。

          玄関に出ていくと誰もいないってやつね。

    A一時流行ったね。ピンポンダッシュと言って。

     でも、こっちは仕事でやってるんだ。

  ブザーが鳴って「郵便です」と言われれば、誰でも自分宛てだと思って1階の鍵を開けるでしょう。

        B:そこが郵便屋の狙いなんだ。

  全部の部屋の住人が不在と言うことは無いだろうから、誰かしら居るだろうというポストマンの狙いなのです。

                  B:こりゃ、当て馬っていうやつだね。

                       よく考えたもんだよポストマン!

 彼らの仕事の知恵が生み出したものなのだなぁと妙に感心をしたものでした。でも、そのあとで新聞配達も同様の方法でやって来ました。という事は、「ポストマン」とか「ニュースペーパー」とか言えば、部屋に居る誰かが1階の鍵を開けてくれて、誰でも建物の中に入る事が出来るという事になります。部屋の鍵だけはしっかり掛けておかないと、とんでもない事になりかねないという事です。

 私も初めのうちは部屋のブザーが鳴ってインターホンから「ポストマン」という声が聞こえると、部屋のオートロックで1階の鍵を開けていましたが、ポストマンのやり方が解って来ると、誰か他の人が開けるだろうと思って、自分が部屋に居ても知らん顔をするようになりました。

                 B:よく気が付いたね、日本人!

          郵便屋と住民の騙し合いだね。こりゃ。

          各部屋の全員が知らん顔していたら、今日の郵便は届かないね。 

          全員が毎日知らん顔をしていたら郵便は永遠に届かないのかな?

          A在宅の家が3軒あって、ブザーが鳴っても3軒とも知らん顔をしていたら

                その日の郵便は届かず。

                 次の日も同じ3軒だけが在宅していて知らん顔していたら

                 その日も郵便は届かないよ。

                 B:誰か開けてあげてよ。

              郵便屋が可哀そうじゃない!

         A毎日同じ家が在宅で無反応って事もないだろうから、そのうち届くだろうね。

                 B:何とかなりゃいいんだ。急がない、急がないの精神だね。

                      じゃあ、宅配便はどうするの?   

      A日本のような宅配便専門業者は無くて、

               小包等も全て郵便屋が届けているね。

               不在の場合は不在連絡票がポストに入っているよ。

                B:例の手を使って不在連絡票を入れていくんだね。

      A荷物がポストに入る程度に小さければポストに入れていくけど

      大きな小包の場合には不在連絡票を入れていくね。

           でも、日本のように電話で再配達を頼むことは出来ないんだよ。

        B:どうして?

      A不在連絡票には指定した郵便局に取りに来いと書いてあって

   翌日以降にパスポートを持って行かないと駄目なんだ。

                B:ずいぶん殿様商売をやってるんだね。

      A伝統を重んじる国だからねぇ。

         一度決めたらなかなか改善しないんだよ。

        B:小回りが利かないイギリスっていうとこだね。    

      Aでも最近ではクロネコヤマトがイギリスにも進出しているってさ。

        B:宅配便の便利さをイギリス人が理解するかなぁ。

      A気持ちの上でゆとりを持って生活しているんで1日や2日の

               郵便物の遅れは気にしないんだよ。

              1週間遅れても平気で配達してくるからね。

           B:それじゃ、宅配便も必要のない物の範疇に入っちゃう訳ね。